たぶん大丈夫なブログ

ちょっとした考察や雑感を述べていきます。

知らずのイラストレーター ―オーネットの巫女キャラ、赤井結の場合―

まずはこの画像を見てほしい(画像1)。


(画像1)婚活サイトオーネットの巫女キャラ、赤井結ちゃんのプロフィール。

可愛い巫女さんだ。どこかで見かけたことがあるという人もいるかもしれない。
そう、このキャラクターは結婚相談所「楽天オーネット」のキャラクター、巫女の赤井結ちゃんだ。
特技は料理、年齢は秘密。詳しいプロフィールはそれだけである。だが、それがいい。下手に設定を凝ると想像の余地を狭めてしまう。この中途半端さが好きだ。

ネット記事としても取り上げられたりする(萌え系と評判!結婚相談所オーネットに婚活キャラ登場 婚活ニュース参照)など、婚活サイトの萌えキャラとして注目を集めてきた。ツイッターも開設しており(赤井結 (@AkaiYui) / Twitter参照)、巫女姿の可愛らしいイラストも織り交ぜながら時折呟いている(ただ、2015年7月15日を境に更新は止まっている……悲しい限りである)。

ネットサーフィンをしている際にその魅力に取り付かれてしまい、以後結ちゃんの広告画像をパソコンに逐一保存している。フォルダ内の画像も50枚近くを数えるまでになった。これから少し、結ちゃんの魅力を画像を交えて紹介していきたい(これから紹介する画像はバナー広告そのままだが、クリックしても別サイトへ移ることは無いのでご安心を)。

完全に余談だが、以下紹介する画像は全てバナー広告で表示された画像を取り込んだものである。そのため引用先を明記できないのである……。インターネット上の情報を引用する際のマナーはかなり整備されてきたのだろうが、こうしたバナー広告の引用方法についてはまだ手法が確立されていないようだ。



(画像2)松岡修造風に熱血モードの結ちゃん。

最初に紹介するのは、松岡修造さながらに熱くなっている結ちゃん(画像2)。「婚活」と書かれた鉢巻を頭に括り付け、巫女衣装でガッツポーズ。「婚活にもっと熱くなれよ!」と、液晶画面の向こう側に座っている独身男に檄を飛ばしている姿が頼もしい。背景画像のラケットとテニスボールが、パロディの確信犯であることを物語っている。



(画像3)西野カナ風に震える結ちゃん。

次に紹介するのは、先程の炎燃えたぎる結ちゃんとは打って変わって、西野カナさながらに震えている結ちゃん(画像3)。「恋人ができなくて×2ふるえる」と「会いたくて 会いたくて」の歌詞をもじりつつ、将来に悲観している結ちゃんは凍えるあまり氷漬けにされてしまっている。背後のラブラブペンギン達との対比が、独り身の悲壮感をより一層際立たせている。そんな姿の結ちゃんも可愛らしい。



(画像4)林修風に今やることを説く結ちゃん。

今度は、林修さながらに今やることの大切さを説く結ちゃん(画像4)。「婚活いつするの?今でしょ!と、もはや隠そうともせず林修氏の名言に乗っかっている。比較的現実感のある等身だったこれまでの結ちゃんとは異なり、完全に2等身である。ねんどろいどで販売されたら買ってしまいたくなる愛らしさだ。



(画像5)指を立てる結ちゃん。

そして、液晶画面外の我らに対して指を向ける結ちゃん(画像5)。
……あれ、先程までと違ってパロディ要素がない!?いや、よく見て頂きたい。背景の画像である。
黒地に赤や青、黄色などのカラフルなインクが飛び散っている。そう、任天堂の人気ゲームスプラトゥーン」のパロディである。「かんたん就活しよ!」のセリフや、指を立てる結ちゃんのポーズをただ眺めているだけでは見えてこない。何とも奥ゆかしい表現である。


紹介している途中から何となく分かってしまうが、結ちゃんのバナー広告はパロディだらけである。
バナー広告の特性を考えたら仕方ないことなのかもしれない。あるサイトを立ち上げた時、バナー広告はクリックしてもらわなくてはならない。巫女の萌えキャラというだけで自分にとってはかなり魅力的だが(クリックはしない、あくまで右クリックからの「名前を付けて画像を保存」)、もうひと押し欲しいという場合もあるだろう。そういう時には、手っ取り早く流行を取り入れてしまうのがいい。それによって目につきやすくし、クリックしてもらおうとする寸法だ。
パロディ多用の安直さも含めて結ちゃんの魅力と言えるだろう。今後はバナー広告のうたい文句と流行との関連性に着目してネットサーフィンをすると、小さな楽しみが増えるかもしれない。


……何故婚活サイトの萌えキャラについて、ここまで熱を入れて書いたのか?結ちゃんが実に可愛らしくて魅力を伝えたいから?確かに一理ある。
だが、それ以上の理由がある。

結ちゃんの作者、つまりイラストレーターが誰なのか一切分からないという問題が存在するからである。

これは何も結ちゃんに限った話ではない。他の例を挙げよう。進研ゼミの勧誘漫画。あの漫画の作者は一体誰なのだろうか?
毎号毎号作者が変わっているということは、絵柄がコロコロ変わっていることからも分かる。だが、作者は誰なのだろうか?
マンガで分かる心療内科』の作画担当者であるソウ先生や、余りにも人妻としての魅力が溢れている母親だと話題になったゼミママ(参考画像1、ゼミママ (ぜみまま)とは【ピクシブ百科事典】参照)の作者である成瀬芳貴先生など、作者名が判明しているのはほんの一握りである。絵柄が気に入っており、2回分の漫画を保管している作者がいるのだが、その先生の名前は未だに存じ上げていない(線の細さや絵柄からして女性であろうと目星は付けているが、こんな絞り込みでは到底特定できない)。



(参考画像1)ネット上で話題になった後に、成瀬芳貴先生本人が描かれたゼミママ。確かにこれは人妻の色気ムンムンである……。


d.hatena.ne.jp
完全に余談だが(本記事二度目)、進研ゼミの漫画、略称「ゼミ漫」を108冊収集なさった方のブログを紹介したい。ゼミ漫特有の、勝ち組ストーリー展開のフローチャートも記載されていて、非常に興味深い記事。時間に余裕があれば是非こちらも。


話をオーネットの結ちゃんに戻そう。結ちゃんの作者は誰なのか?
公式ウェブページ(http://onet.rakuten.co.jp/lp/index_yui.html参照)を覗いてみる。……作者名は見当たらない。
ツイッターを辿ってみる(上記のリンク参照)。……ツイート数が3000を超えていて、逐一追っていくのが面倒くさい。仕方ないので画像付きツイートだけ辿ってみるが、結局分からなかった(ひょっとすると見落としがあるかもしれない)。
そして色々と巡っている内に、奇妙なサイトを発見した。

http://www.ten-o-net.com/www.ten-o-net.com

手描きの如何にもやる気のない鳥居や神社。ネット黎明期のウェブサイトを想起させる「あなたは○○人目の参拝者です!」のカウンター。そして左端には手描きの結ちゃんの姿。どうやらオーネット関係のウェブページのようだが、ここでも作者の名前を見つけることは出来なかった。


イラストレーターが誰なのか分からない問題。これは決して、婚活サイトの萌えキャラや進研ゼミの付属漫画に限った話ではなく、もっと普遍的な問題なのだ。

更に例を挙げると、テレビで一時的に出てくるイラスト。ニュースの解説やバラエティ番組の演出でイラストが出てくることがあるが、誰が描いたのかまでは分からない場合が大半である。

他の例としては、書店に並べられている単行本。最近では一般的な文芸書の表紙に、アニメ・漫画・ラノベ調のイラストが使われることも増えてきた。
ふと表紙が気になり、そのイラストレーターを知ろうと思い単行本を手に取る。……なかなか見つからない。やっと見つけたと思ったら、袖(表紙裏の作者紹介、本紹介などが書いてあるスペース)の下に小さい字で書かれていた……。そういう経験はないだろうか?
ラノベなら作者名の下にでかでかとイラストレーターの名前が書かれているのに、文芸書の世界ではまだまだ浸透していない。イラストレーターの名前の判別に関して言えば、単行本に比べて文庫本の場合は良心的な場合が多い気がする。

イラストレーターの名前が広報、認知されにくい問題は割と普遍的なのだ。一部の例外を除いて、名前が広まることはイラストレーター側、消費者側、そしてクライアント側、どの立場にとっても有益だと思うのだが……。


オーネットの巫女の萌えキャラ、バナー広告における流行の取り入れ方、そしてイラストレーターの無名問題。話題が転々としてしまったが、述べておきたい内容は概ね書き尽くすことが出来た。
今後はイラストレーターの名前がより分かりやすい環境になることを祈りつつ……。




【附記】
最近、「絵師」という言葉が頻繁に使われている。本来の意味での絵師(葛飾北斎歌川広重などを示すような用語)ではなく、単にイラストレーターを示す際に使われる。それに対して色々な意見が挙げられている(イラストレーターを「絵師」と呼称する風潮、その問題点とは? - KAI-YOU.net参照)。
この記事では、仕事としてイラストを描きその対価としてお金を貰うプロの方について話題として取り上げているため、絵師ではなくイラストレーターという用語を使用することにした。



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