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たぶん大丈夫なブログ

しょうもない考察や雑記を述べていきます。

「飛び地」探訪① 「豊中市 石橋麻田町」

飛び地、それはフロンティア。


この記事のシリーズでは、日常にさり気なく潜む飛び地について紹介したい。
ここで言う飛び地とは、異なる地方自治体によって周囲が包囲されている場所を示す。そこは自治体の境界線が引かれており、ちょっとした非日常的雰囲気に誘ってくれる場所でもある。日本の場合は国境が接している土地がないため(厳密には南樺太はどうなのかと理屈はこねられるが)、飛び地が存在しうるのは必然的に都道府県レベルや市町村レベルとなる。

某国立大学が位置する大阪府豊中市には幾つかの飛び地が存在するが、この記事では大阪府池田市箕面市に囲まれた豊中市 石橋麻田町」を紹介しよう。


豊中市石橋麻田町とは一体どこにあるのか。
大阪府の北に位置する豊中市は南北方向に伸びているが、その北西端に位置している(図1)。


(図1)豊中市石橋麻田町の位置。大阪平野北部、北摂地域にある。


せっかくなので市の境界線が明瞭な地図も載せておこう(写真1)。

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(写真1)豊中市石橋麻田町の飛び地具合。「豊中市街地図」より。


大阪大学豊中キャンパスや待兼山のほんの少し北に、石橋麻田町が存在するのだ。確かに(写真1)の地図で見てみると、南に見える豊中市とはギリギリ切り離されていることが分かる。

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戦争文学を読み直す①

「戦争文学」と聞いて、どのようなものを思い浮かべるだろうか。個人的には、小学生の頃に光村図書の国語の教科書で読んだ『ちいちゃんのかげおくり』と『一つの花』が思い出される。
あまんきみこ作の『ちいちゃんのかげおくり』は説明するまでもないだろう。空襲で家族を失ったちいちゃんが、家族に教えられた遊びの「かげおくり」をして亡くなってしまう悲しいお話である(思い出しただけで涙が出てきそうになる)。
今西祐行作の『一つの花』も、静かに胸に訴えかけてくる作品だ。出征する父にものをねだる幼い娘。父はプラットホームに咲いていたコスモスの花を娘に渡して汽車に乗った。十年後、コスモスに囲まれた家の中で親子が暮らしているが、娘は父親の顔を知らなかった――。『ちいちゃんのかげおくり』ほど分かりやすい展開ではないが、味わい深い作品だと思う。
小学三年生で『ちいちゃんのかげおくり』、四年生で『一つの花』が教科書で扱われるという流れは非常に考えられている。学年が上がるごとに、話の筋がだんだんと明快ではない作品が選ばれているのだ。要は、年齢が上がるごとに抽象的で難解な作品が選ばれているということである。

音読の宿題で何度も泣かされたこの二作、教科書に取り上げられたという点以外にも共通点が見受けられる。それは、「子供という立場の弱い存在が、日本国内で戦争の犠牲・被害者となる」というものだ。これこそが小学校の教科書に掲載されている主な理由でもあると思う。
小学生が文章を読む際、より感情移入しやすい登場人物は自分と年齢の近い子供である。両作品も幼い子供が主要な登場人物となっている。
また、日本国内(曖昧な定義だが、この場合は現在の日本国領土ということにしておきたい)というのも重要なポイントだ。後で述べるが、「戦争文学」の舞台は別に日本国内に限ったものではない。満州や中国(これもまた曖昧な定義)も舞台となるし、ビルマニューギニアなどの南方も舞台となる。さらに言えば、別に第二次世界大戦に関係する戦争でなくてもいいのである。日清戦争日露戦争第一次世界大戦、内戦に目を向ければ戊辰戦争西南戦争・・・・・・。先程までは直接日本に関係する戦争ばかり触れたが、当然ながら日本以外の戦争を取り扱った文学も「戦争文学」だ。しかし小学生の中学年にとって、そうした場所や時代が舞台の「戦争文学」はいささか扱いにくい。日本の小学生にとって一番親しみやすいのは直近の太平洋戦争(この言葉の使い方も難しい)、その中でも日本本土が舞台となっている作品である。そうなると、空襲や原爆などで登場人物が被害者となる作品や、戦時中の生活の苦労を描く作品が自然と増えてくる。
そう、「(子供という立場の弱い存在が)戦争の犠牲・被害者となる」という点もこういう流れを踏まえている。

少し脇道に逸れるが、ティム・オブライエン作、村上春樹訳の『待ち伏せ』が筑摩書房の高校生向けの教科書で取り扱われるのも、こうした事情を踏まえている。この作品はベトナム戦争ベトナム兵を殺すアメリカ兵の心理的葛藤を描いている。これをいきなり小学生に読ませるのは難しいだろう。高校生になるまでにベトナム戦争を大まかに理解する機会を経て、その上で読んでこそ意味がある。
強調したいのは、人間が成長していく過程で、ある段階に達したときに深く理解できるようになる「戦争文学」があるということだ。

だからこそ小学生の頃に紹介される「戦争文学」は、「子供という立場の弱い存在が、日本国内で戦争の犠牲・被害者となる」作品が自然と増えてしまう。これは仕方のないことではある。だが、小学生の頃にこうした作品ばかりを読む機会が与えられると、戦争に関する文学は「暗い」「悲しい」「重い」といった負のイメージが強まり、敬遠される動きがあるのではと思うのだ。勿論、そうした戦争の負の側面を直視することは大切だが、そうした辛い内容を自ら積極的に読み進めようとする小学生はそう多くないのではなかろうか。
また、そうした負のイメージを利用して「反戦」「平和」を強調・称揚する動きに辟易している人もいるのではないか。幼い頃に何度もこうした動きが繰り返されると、戦争文学は「反戦・平和を訴えた、読み進めるのに重く辛い作品」というイメージが出来上がってしまう。
こんなの個人の感想じゃないか。もっともな意見だろう。だが、これは紛れもなく私自身が経験したことでもある。「戦争」というトピックを取り上げれば必ず「反戦・平和」という主義・主張が待っている、この流れがどうにも窮屈に感じたのだ。深く考えさせられ心に残り一生の財産となる「戦争文学」がせっかくあるのに、先程挙げたイメージを抱かれたせいで敬遠され読まれなくなる。それこそが最も悲しいことではないのか。「戦争文学」が、押しつけ押しつけられるのではなく、主義・主張を誘導するのでもなく、自発的に興味を持って読んでもらえる環境こそ必要なのではないのか。


長々と御託を並べておいて結局何が言いたいんだ、という声が(自分の内から)聞こえてくるのでそろそろ本題に入ろう。

淡々とした描写の戦争文学、そして日本国内ではなく中国が舞台として扱われた戦争文学を二編取り上げたい。
それは田山花袋作『一兵卒』と、伊藤桂一作『螢の河』である。「螢の河」は第46回直木賞受賞作品でもある。


蒲団・一兵卒 (岩波文庫)

蒲団・一兵卒 (岩波文庫)

田山花袋の有名な私小説『蒲団』と『一兵卒』を収録。


センター国語や模試で伊藤桂一の作品を何度か見かけたことが読むに至ったきっかけ。前半は戦争に関する短編、後半は釣りに関する短編が収録されている。


淡々とした描写。
そう、例えば「戦争反対」というイデオロギーが強く現れた作品ではないということだ。逆に言えば、「鬼畜米英からアジアを解放する為であり、先の戦争は肯定されるべきである」といった極端な主張も退けることになる。
主張が予め設けられた作品ではなく、読者に委ねられた(と見受けられる)作品を読んでみたい。そう思ったのだ。

また、日本国内ではなく中国が舞台とはどういうことか。
それは、主人公となるのが「戦争の犠牲・被害者となる」幼い子供ではなく、実際に戦場に立っていた兵士・成人男性だということだ。こう言うと、「ははん、兵士が主人公ということは加害者側から見た戦争を描いているんだな、感心感心(もしくは、そんな自虐史観なんぞけしからん!)」という意見が聞こえてきそうだが、別にそういうことを意識している訳ではない。この二編では日本兵や中国人が登場するものの、そこに「加害者/被害者」というステレオタイプな見方は挿入されていない。
この二編の本質は、戦場における兵士の心境を描き出している点にある。ただその心境は、戦場の非日常性とはどこかズレて見えるのである。なかなか上手く表現できないのがもどかしいが、実際に戦場に立つ兵士の視点から見た小説でありながら、戦闘行為や攻撃性やそういう行為に対する罪の意識に焦点を当てるのではない、そういうことだ。

前置きが非常に長くなってしまった。2500字を超えた。共通教育課程のレポートなら、字数で言えばなかなかいい所まで書けたことになる(こんなことをしてないで提出期限が迫るレポートを書けよ。自覚はしてる)。この二編に対する具体的な感想はまた次の機会ということで。


追記:こんなに「戦争文学」というものについて語っておきながら、特段こうした作品に造詣が深いという訳ではないのが滑稽とも言える。生きているうちに理解を深められたら、と思う。
竹山道雄作『ビルマの竪琴』についての感想はある程度纏まってきているので、これもまた別の機会に書いてみたい。

はじめまして

はじめまして。色々なところで色々している坂津です。

 

このはてなブログが生涯では三度目のブログ開設になります。

このブログでは、ある程度長い文章を伴った、しょうもない考察や雑記をまとめていきたいと思っています。具体的には、飛び地や県境といった地理関係のあれこれや文学・漫画・サブカルチャー、1980~2000年代の日本の音楽、そしてプリキュア(意地でも食い込ませる)などのトピックになるかと思います。

 

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